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- この記事でお伝えしたいこと
- コロナ禍による転職市場への影響
- コロナ禍によるIT業界への転職影響
- IT業界がコロナ禍の影響が少ない理由
コロナ禍においてエンジニアが有利な転職活動を行う方法
この記事では、新型コロナウイルス(Covid-19)によるIT業界全体の市場予測などを踏まえ、コロナ禍がエンジニアの転職市場にどのような影響を与えるかについてお話します。

現在、転職活動をはじめたいけど、コロナの影響が読めずに二の足を踏んでいるエンジニアの方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
この記事はだいたい5分程度で読み終わります。
目次
コロナ禍による転職市場への影響
2020年5月の緊急事態宣言以降、大企業の破綻や赤字化のニュースが連日報道されてきました。
そんなこともあり、転職市場は冷え切っていると思う方も多いと思います。
実際に、転職・求人dodaは「転職市場予測2020下半期【doda編集長がコロナの影響を解説】」の中で、このように述べています。
もともと、2020年は夏以降の景気がやや後退するだろうと予測していました。さらに今回コロナショックが起こったことで、少なからず転職・採用の面でも影響は出ているといえますね。
2020年の1月からは有効求人倍率が下がりはじめ、5月の段階では1.20倍となり、市場は売り手市場から買い手市場に変化しました。


コロナ禍によるIT業界への転職影響
転職・求人dodaは、転職市場は「買い手市場」に変化したと書いていましたが、エンジニア職の求人自体は増える見込みとのことです。
テレワークが普及したことも追い風となって、IT系の通信キャリアや、ネットワーク系に強みを持つ企業や、テクノロジーベンダーと呼ばれる業種などは堅調に事業を続けられています。
職種ではエンジニア領域がコロナ前と変わらず売り手市場となっています。IT・インターネット業界が伸びたことで、人手を増やしたいというニーズもあるため、エンジニア職は引き続き求人が増えることが見込まれますね。
一方でこのようにも述べています。
コロナ以前は“売り手市場”で個人に有利な状況が続いていたため、未経験OKの採用も一定数ありました。しかし現在は採用計画を見直し、採用職種を絞っている企業が多く見られ、また採用人数も絞るために経験者採用が増えているのが現実です。
こうしてみると、IT業界はまだまだ転職のチャンスはあるようです。
ただし、未経験エンジニアにとってはこれまでより厳しい状況になっているようです。
正直、未経験エンジニア転職は、コロナ禍でなくても厳しい状況だったのであまり変わらないのですが、ポートフォリオを充実させるなど一層の努力が求められているということですね。

IT業界がコロナ禍の影響が少ない理由


売り手市場である3つの理由
- 2021年より国内IT市場予測は回復傾向
- IT業界は慢性的な人材不足
- コロナ禍で生まれるIT需要も多い
ひとつずつお話します。
2021年より国内IT市場予測は回復傾向
IDC Japanが、2020年9月9日に国内ICT市場の予測アップデートを発表しました。
IDCは定期的に、国内企業がどの程度ITに支出をするか予測を発表をしており、今回は新型コロナウイルス(COVID-19)の最新状況を考慮したものとなっています。
図がボヤけているためわかりにくいですが、レポートの内容を噛み砕くと以下の通りです。
- 2020年はコロナの影響を受けて前年比4.3%減(27兆9,253億円)※当記事で算出
- 2021年には前年比1.2%増(28兆2,605億円)
- 2022年から緩やかに成長し2019年の水準に戻るのは2023年
※2020年8月末時点の予測


IT支出が回復する4つの理由
- 東京2020オリンピック・パラリンピックの開催
- 政府の景気刺激策
- デバイス領域(スマホ/PC/タブレット)が大きく伸びる
- インフラ領域(サーバー/ストレージ/IaaS/ネットワーク)が大きく伸びる
オリパラと政府の刺激策は理解できますが、スマホやタブレット、サーバー・ストレージなどのデバイス、インフラの領域が大きく伸びると予測されています。
後述しますが、ここにエンジニアの転職が「売り手市場」である秘密が隠されていたりします。
ちなみに、この記事では書かれていませんが、IDCは市場がこのまま緩やかに成長を遂げ、2024年には2019年と比較して1.1%支出が増えると予測して締めています。
実は2009年のリーマンショック時も、国内ICT支出が一気に11%も落ち込んだことがありましたが、翌年には0.6%プラスに転じているという実績もあり、この実績に倣って予測していると考えられます。


IT業界は慢性的な人材不足
IT業界に限らず、少子高齢化の影響で労働人口が減少しています。
これは今後も続くと見られており、経済産業省が発表している「IT人材供給に関する調査-調査報告書」によるとは2030年には約45万人のIT人材が不足すると予測しています。
コロナ影響で少し停滞したものの、今後もデジタル化の波は止まらず、AI、クラウド、ビッグデータといった先進技術を持つエンジニアの需要は高まる一方です。
また、メインフレームやUNIXなど「レガシー」と言われるエンジニアも、需要が完全になくなることはなく、保守や更改、技術継承などで10年後も需要があると予測されているのです。
詳しくは以下の記事にまとめましたので、よかったら読んでみてください。
-
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コロナ禍で生まれるIT需要も多い
コロナ禍以前、多くの業界・企業で「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」を推進しており、DXに向けてIT市場も活況となっていました。
コロナ禍で一旦DX推進を停滞させる企業も出てきましたが、先進的な大企業では、今後もDXへの投資が活発化すると見込まれており、IDCもこの前提でレポートを発表しています。
コロナ禍においても投資が進むITの領域は以下の通りです。
- クラウド・シフト
- デジタル・ワークプレイス(テレワーク・ペーパーレス)
- 教育のデジタル化
クラウド・シフトは、AWSやAzureなどパブリッククラウドにシステムを移行することです。
システムの保守費削減や、システムの改修のスピードアップが期待できるので、コロナにかかわらずクラウド化の流れは進んでいます。
そして、サーバーやネットワークなど"Infrastructure"への投資も伸びるというわけです。
また、デジタル・ワークプレイスはテレワークや文書のペーパーレス化を指していますして、今はテレワークが伸びています。
大企業ではテレワークを導入済みのところも多いですが、システム更改が必要となっている企業もありますし、多くの地方自治体などでは、今がまさに導入の真っ盛りとなっています。
教育のデジタル化は、デジタル・ワークプレイスの教育版です。
学校など教育機関でリモート授業が受けられるよう、タブレット端末などデバイス領域への投資が進んでいます。
テレワークや教育のデジタル化はコロナのおかげで逆に導入が進んでいるといってよい領域です。
IDCレポートはこうした状況も踏まえ、デバイス・インフラ領域への投資が伸びて2021年には回復に転じると予測しているわけです。
もちろん、こうしたシステム導入のために、ITエンジニアの採用は欠かせません。


実際の企業の動向
IT転職市場において、エンジニアは変わらず売り手市場が続くという予測についてお話しましたが、実際の企業の採用動向はどうなっているのでしょうか。
日経新聞が2020年10月18日に「2021年度の採用状況調査」を発表しました。
主要企業の大卒採用の内定者数(21年春入社)は、20年春入社数と比べ11.4%減った。2桁減はリーマン・ショック後の10年度以来11年ぶり。新型コロナウイルスや米中摩擦などによる景気悪化が響いた。そのなかでもデジタル分野の強化に向け採用を増やした企業もあり、成長領域への人材シフトが加速しそうだ。
出典:日本経済新聞
このように、新卒採用に臨む学生にとっては「就職氷河期」の到来となっているようです。
一方、同記事では、企業の中途採用の動向についても述べています。
日立製作所は「即戦力となる経験者採用の比率を高めている」
もう一つ見逃せないのは、産業界で進むデジタル化や次世代技術の普及といった成長領域での人材確保だ。
NTTデータは7.8%増の510人を採用する。顧客が事業の効率化や新規創出に向けて取り組むデジタルトランスフォーメーション(DX)に対応するため、情報システムの開発要員の採用を強化する。
記事では日立製作所とNTTデータの動向についてのみ書かれていますが、DXへの対応はIT企業各社にとって「必須」であるため、SIer各社はかなり近しい状況ではないかと考えられます。
DXを技術で下支えするのはエンジニアです。IT企業にとって即戦力となるエンジニアは喉から手が出るほど欲しいという状況です。

即戦力となるITエンジニアはこれからも売り手市場
結論として、ITエンジニアの転職市場においては「売り手市場」であることは変わりありません。
ただし「経験・スキルのあるエンジニア限定」とさせてください。
未経験からIT業界へ転職を考えている方は「買い手市場」へのチャレンジとなります。

コロナ禍においてエンジニアが有利な転職活動を行う方法
転職・求人dodaは先ほどの記事でこのように述べています。
採用計画に影響があった企業は全体の36%。その中で、まったく見通しが立たない状況にあるのは6割ほど。つまり全体から見れば、約2割にとどまっています。残り8割の企業は影響を受けていないか、受けていても早期に計画を見直し、採用を続けられているということです。
僕はコロナ禍の今でも優秀な人材を求めてダイレクト・リクルーティング型の転職サービスを利用して採用活動を行っていますが、求職者の数自体が減っていると感じています。経験・スキルのある方は今が転職のチャンスだと断言します。

エンジニアが転職を成功に導くために「転職エージェント」の存在は欠かせません。
企業の中途採用募集フォームから応募するのもアリですが、一番の近道は転職エージェントを利用することです。
転職エージェントを利用すると、下記のように相談から入社まで一手に引き受けてくれるので、内定率が一気に上がります。
というか、頼らない手はありません。
転職活動はとてもやることが多く、時間も労力もかかります。
転職エージェントを頼らないと、下記のことを自分ひとりでやることになるので労力がかかり、判断を誤ることもあるため危険です。
企業の内情や社風なども自分で情報収集しなければならず、入社してから「やっぱり違った」となる恐れもあります。
転職エージェントの仕事
- スキルの棚卸し
- 企業研究・情報収集
- 求人の紹介と企業への推薦
- 応募書類の添削と面接対策
- 年収の交渉と入社までの手続き代行
- 入社後のアフターフォロー
このように、確かな情報提供と、面倒な交渉事や手続きなども一手に引き受けてくれるので、至れり尽くせりです。
転職エージェントは数多く存在し、それぞれ特徴や得意分野があります。
転職を成功に導くために重要なポイントは以下の通りです。
転職成功のポイント
- 求人の「量」
- キャリアアドバイザの「質」
求人の量が少ないと、優秀なアドバイザに巡り合っても良い仕事を紹介されませんし、アドバイザの質が悪いと、希望と違う質の悪い求人を紹介される可能性があります。
こうした条件を満たし、転職を見事成功に導くためには、複数の転職エージェントに登録することをオススメします。
3~4社登録すれば十分です。
エンジニア経験者にオススメの転職エージェント
エンジニアとして経験・スキルがある方は、下記のように、キャリアアップを狙えて、かつ多くの求人に出会えるエージェントを複数登録することがオススメです。
- 求人数が多い最大手の転職エージェント
- IT業界特化型で、優秀なアドバイザを揃えキャリアアップ・年収アップを狙える転職エージェント
この条件に見合うエージェントは下記です。
経験者にオススメの転職エージェント
リクルートエージェント
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それぞれ下記で詳しく解説していますので、ぜひ読んでみてください。
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非公開求人数は10万件、エンジニア求人6万件以上で未経験者OKの求人も多い
それぞれ下記で詳しく解説していますので、ぜひ読んでみてください。
まとめ
新型コロナウイルス(Covid-19)によるIT業界全体の市場予測をもとに、エンジニアの転職市場にどのような影響を与えるかについてお話をしましたが、いかがでしたでしょうか。
新型コロナウイルスの影響で、転職市場自体は影響がありつつも、IT市場への影響は限定的で、引き続きITエンジニアにとっては「売り手市場」が続きます。
もちろん、未経験者はコロナ前と同様に、努力とアピールが必要な厳しい転職活動になりますが、これからも可能性はゼロではありません。
経験者も、未経験者も自分の隠れた実力や市場価値を掘り下げ、魅力的なアピールができるようアドバイスをしてくれる転職エージェントの存在は必要です。
この記事を読んで、転職に二の足を踏んでいたエンジニアの方、未経験の方のお役に立てたら嬉しいです。