エンジニアの転職

IT業界で採用される転職理由とは?面接官に刺さる効果的な伝え方を解説【大手SIer採用担当が語る】

2020-08-09

悩める人
悩める人
・ITエンジニアの転職理由ってどんなものが多いの?
・転職理由に一貫性がないと言われたんだけど、どういうこと?
・ネガティブな転職理由なんだけどそのまま伝えても大丈夫?

この記事はこういった人のために書きました。

 

  • この記事でお伝えしたいこと
  • ITエンジニアの転職理由はどのようなものが多いか
  • 面接官が転職理由を聞く理由
  • 転職理由を考える際に最も重要なこと
  • 転職理由を伝える際の3つのポイント
  • 転職理由の公式
  • 転職理由はこう伝えよう!面接官に刺さる転職理由の伝え方

 

  • この記事を書いている僕はこんな人です

新卒でIT業界に入り、2度の転職を経て現在は大手SIerで部長として働いています。
キャリアは20年で、C言語のプログラマーから、インフラエンジニア、アーキテクト、PMを務め、現在は人材育成や新卒と中途採用の面接官も務めています。
これまで、何百人ものITエンジニアと仕事を共に、数多くの転職希望者と採用面接を通じて接してきました。

 

この記事では、ITエンジニアが転職を希望するときの転職理由の考え方、効果的な伝え方について詳しくお話します。

 

結論から言うと、ITエンジニアの転職理由はポジティブなものからネガティブなものまで様々です。大事なのは自分がなぜ転職するのかを深く掘り下げ、転職の理由が志望動機に直結していることです。ただし、伝え方のミスで優秀な人材が不採用となるのはお互いにとって不幸ですので、ポジティブな理由に変換して伝えることも大事です。
ヤマダヒロタカ
ヤマダヒロタカ

 

現在転職を考えているITエンジニアの方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

 

IT業界への転職理由はどのようなものが多いか

ITエンジニアの転職理由は、どのようなものが多いのでしょうか?

転職・求人DODAが発表した転職理由ランキング2019<職種別>によると、下記の通りです。

出典:転職理由ランキング2019<職種別>(転職・求人DODA)

 

2019年は社内SEの採用が活発化しており、SIerから社内SEへの転職が多かったのが特徴的ですが、給与への不満、会社や業界の将来性への不安など、ネガティブな理由も目立っています。

 

IT業界への「転職理由」が大事である理由

転職理由は、面接で必ず聞かれるといってもいいでしょう。

まず、なぜ面接官は転職理由を聞くのかを考えてみます。

 

すぐに辞めてしまわないかどうか

エンジニアの採用にはお金がかかります。

リクルートの「就職白書2019」(2019年5月)によると、中途採用の1人あたり平均採用コスト(採用単価)は84.8万円と言われています。

採用活動を行う人事部門、面接官の稼働といった人件費もこれに上乗せされます。

また、場合によっては入社後の研修費用などもかかります。

 

このように、お金をかけて採用した人材がすぐに辞めてしまわないように、「入社後に似たような理由で辞めてしまう人物でないかどうか」を転職理由から確認しているのです。

転職理由が「残業が多くてつらかったから残業が少ない会社に転職する」だったとき「ウチも残業は多い方なんだけどな・・」となると採用しにくくなりますよね。

 

現在の事業内容と将来の事業方針の両方にマッチするか

企業は事業を行っており、現在すでに行っている事業内容と、将来の事業方針というものがあります。

企業は、現在の事業内容、将来行おうとしている事業、進もうとしている方針の両方にマッチする人材を求めています。将来の方針にマッチするかどうかは、転職希望者の職務経歴だけではわかりません。

そのため、転職理由から「転職によって実現したいこと」を確認することで、将来の事業方針に沿った人物かどうかを確認しているのです。

 

IT業界への転職理由を考える際に最も重要なこと

転職理由は人によって様々ですが「なぜ転職するのか」を掘り下げて考えられたかどうかが最も大事です。

 

  • 転職によって何を実現したいのか?
  • 実現したことによってどのような自分になりたいのか?

 

この2点を突き詰めて考えてみましょう。

「上司と合わない」「給与が安い」など一見ネガティブな転職理由だったとしても、なぜ?を繰り返して掘り下げることで実はポジティブな転職理由だったということもあります。

また、この掘り下げ作業は、転職理由だけでなく、志望動機は何なのかを掘り下げることにもつながる大事な作業です。

よくよく掘り下げると、実はその企業を選ぶべきではなかった、ということも十分に考えられます。

 

IT業界への転職理由を伝える際の3つのポイント

転職理由を掘り下げて、本当の転職理由がわかったところで、次はその理由をどのように伝えるかについてポイントをお話します。

 

①ポジティブな理由に変換する

転職理由を掘り下げて考えた結果、どうしてもネガティブな理由になってしまうこともあるでしょう。

特に給与や残業の多さなどの労働環境系の転職理由は、面接官にもネガティブに捉えられやすいので注意が必要です。

そのような場合は、本音と建前を使い分けることも大事です。

本音を隠して建前で面接に臨むのはよくないと思うかもしれません。

多くの場合はその通りなのですが、転職を希望するあなたが本当に優秀な人材なのに、ネガティブな転職理由だったことを理由に不採用となってしまうのは、双方にとって望ましいことではありません。

もちろん、嘘は絶対にNGですし、その場しのぎの伝え方でもいけません。

ポジティブな言い方に変換して伝えることが大事なのです。

例:「仕事がつまらない」

変換後:「エンジニアとして価値を高めるため先進技術へキャッチアップしたいが、業務が定型的で固定化されているため、今以上のスキルアップが望めない」

 

例:「給料が安い」

変換後:「自分のスキルを適切に評価する評価方式を導入している企業へ転職したい」「成果主義の企業で働きたい」

 

いかがでしょうか。だいぶ印象が変わりますよね。

実は、転職理由を深く掘り下げると、このようにポジティブな理由に自然と変換されることも多いのです。

 

②エンジニアとしてのポリシーを織り交ぜる

面接官、特に一次面接の面接官はエンジニアであることがほとんどです。

面接では、現場の目線で「この人と一緒で開発がうまくいくのか」「開発を行う組織にとってメリットがあるか」を見られます。

転職理由は、「ITエンジニアとして」なぜ今の会社を辞めるのか、「ITエンジニアとして」どう考えたからその企業に転職したいのかを織り交ぜて話せるとなお良いでしょう。

あなたのエンジニアとしてのポリシーを面接官と共有することで、転職の理由や、志望動機なども含めて面接官に伝わりやすくなります。

 

例:
ITエンジニアとして10年後も活躍できるよう常に最新技術をキャッチアップしていきたいと考えています。現職は定型的な保守業務に特化しており、自己研鑽でのスキルアップは限界を感じたため転職を考えました。しかし、エンジニアが技術力を磨くために保守業務が重要な役割を持つことも理解しているため、まずは御社においてこれまでの経験を活かし、保守業務のスペシャリストとして活躍しつつ、開発プロジェクトも経験して最新技術をキャッチアップし、10年後は御社でマネージャーとして活躍することを希望しています。

 

システムの保守作業にはトラブル対応が付き物です。トラブル対応を数多く経験することで技術の深い部分までを理解することができ、エンジニアとして成長できることはITエンジニアなら誰でも頷けることです。

この内容を共有することで、「この人はちゃんとエンジニアとして経験を積んできた」ことが面接官に伝わります。

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③転職理由と志望動機に一貫性を持たせる

転職理由が、退職理由だけになっていないでしょうか?

転職を考えた理由が、転職によって実現したいことに直結しているかをチェックしましょう。

さらにそれを転職先企業でどう実現するかを志望動機として話すことができれば、一貫性のある転職理由ということになります。

 

例:
[転職理由]
フルスタックエンジニアとして活躍できる人材を目指していましたが、現職はアプリ開発に特化しているためインフラの技術を学ぶことが難しいため転職を考えました。

[志望動機]
御社はWebでのサービス展開に積極的で、下請けを利用せず自社社員だけでインフラからアプリ開発までワンストップで行うことが特徴であると理解しています。これまでアプリ開発で得た経験を活かし、まずはアプリレイヤのエンジニアとして活躍し、その上でインフラの知識を付け、フルスタックエンジニアとして御社のWebサービスを発展させていきたいと考えています。

 

このように伝えると、アプリ開発の経験を転職先でも活かすことができ、かつ企業が求める人材としてサービスの発展を実現するということを論理的にアピールできる一貫性のある転職理由・志望動機になります。

 

転職理由の公式

転職理由とは、退職した理由と、転職によって転職先で実現したいことを加えたものになります。

わかりやすいよう、図に書き起こしてみました。

いかがでしょうか。

採用面接とは、あなたの経験やスキル、エンジニアとしてのポリシーが、転職先企業の現在の事業内容、将来やろうとしている事業内容とマッチし、かつ求める人材像や待遇とマッチするかどうかを確認する場なのです。

あなたの退職する理由と、転職先で実現したいことに一貫性がないと、論理的に話がつながらず、面接官も理解ができなくなるため、一貫性は重要なのです。

 

IT業界への転職理由はこう伝えよう!面接官に刺さる転職理由の伝え方

転職理由はポジティブなものであり、志望動機と一貫性を持たせることが重要とお話しました。

転職・求人DODAが発表した転職理由ランキングの例に基づいて、面接官に刺さる転職理由の回答例をお伝えします。

 

ほかにやりたいことがある

これはネガティブな理由ではありません。

これまで経験したこと、身に着けたスキルを、ほかのやりたいことにどのように活かし、転職先の企業で将来どのように活躍したいのかを伝えてください。

面接官に刺さる!回答例


現職ではSIerのアプリケーションエンジニアとして、大規模システムの上流工程をメインに携わってきました。私はまずシステム開発の経験を積み、最終的には御社のような事業会社で、新たなビジネスを生み出す情報システムを企画する業務に就くことを目指していましたが、SIerではその実現は難しいため転職を決意しました。
御社では、SIerでの上流工程の経験を活かし、情報システム部門の立場として既存のシステム開発をリードし、ゆくゆくは新たなビジネスを生み出すIT活用を企画していきたいと考えています。

 

会社の将来性に不安

自ら状況を改善する努力をした上での判断だったことを強調してください。

その上で、それをきっかけとしてキャリアアップしたいと思うに至ったという具合に、ポジティブな理由につなげましょう。

 

面接官に刺さる!回答例


今の会社はレガシーな技術に特化した企業です。技術力はつくのですが、今後10年は先進IT技術を身に着けたエンジニアが求められると認識しているため、今の会社に先進IT技術を身に着けたエンジニアを育成する提言を何度も繰り返し、私も積極的にクラウドの資格を取得するなど努力をしましたが、経営方針は変わりませんでした。会社としての将来性に不安を感じたため、これをきっかけによりキャリアアップをしたいと思うに至り、転職を決意しました。御社はレガシーな技術も先進IT技術にも積極的に取り組んでおられるため、まずは現在の技術力を活かして活躍するとともに、将来的に先進IT技術を活用した案件でリーダーを務めたいと考えています。

 

給与に不満がある

労働環境系の不満はネガティブに捉えられやすいため気を付けましょう。

直接給与への不満を言わず、より高い給与を望めるキャリアパスを希望することに変換しましょう。

 

面接官に刺さる!回答例


私はPMも技術を理解するべきだと考えていますので、まずはエンジニアとして技術力を磨き、その上でPMになることを目指していました。しかし現在の会社はエンジニアからPM職へのキャリアパスがなく、今以上のキャリアを望めないため、マネジメントに重きを置く御社へ転職し、技術もわかるPMとして思う存分力を発揮したいと考え、転職を決意しました。

 

残業が多い/休日が少ない、土日祝日に休みたい

こちらも労働環境系です。

最近はワークライフバランスが重視されており、あまりネガティブに捉えられない可能性もありますが、労働環境そのものの不満ではなく、労働環境が悪いことによって自分が実現したいことが阻害されているという前向きな理由に変換しましょう。

 

面接官に刺さる!回答例


現在の会社は非常に残業が多く、残業が当たり前という文化です。有休を取得するときも上司から理由を聞かれるため休みがとりにくい雰囲気があります。もちろん、エンジニアは納期が迫っていたり、トラブルが起きているときは残業も休日出勤も当たり前と考えていますが、この労働環境のために特に若手のチームメンバーの退職が多く、メンバーの入れ替わりが多くなるため生産性も上がらず、チーム全体としてモチベーション維持が難しい状況が続いていました。
リーダーとして、チームメンバーと一丸となって難易度の高い開発に携わりたいと考えていますので、御社のようにワークライフバランスの向上に積極的に取り組んでいる企業に転職することで、よりメリハリのある生産性の高い働き方を実現し、チーム全体で一丸となって開発に取り組めると考え、転職を決意しました。

 

業界の先行きが不安

これは、あなたが業界の先行きを見通せる能力があるとアピールしていることになるので、上手く伝えることがとても難しいです。

あなたが業界経験の長いベテランであれば説得力もあるのですが、そうでない場合は面接官も納得しないでしょう。

また、今はIT業界も含め、どの業界も変化を求められており、今後の先行きをきちんと見通すことが難しいリスクに溢れた世の中です。

今後、業界がどのように変わっていくか面接官も見切れていないのにそのように伝えてしまうと、今は良くてもちょっと業界が不調になったときにすぐ逃げだしてしまうのではないかと思われてしまいます。

本当に業界の先行きが不安なことが転職理由であるのか、さらなる深堀りをお勧めしますが、どうしてもという場合は業界の先行きではなく、今後どうなるかわからない業界の中で、現在の会社が事業方針を変えない「会社の将来性に不安」に理由そのものを変換しましょう。

 

会社の評価方法に不満がある

これも上手く伝えることが難しい転職理由です。

「会社の評価基準を理解していないだけ」「あなたが評価に見合った成果を出せていない」とネガティブに捉えられやすいためです。自身がどのような業績や成果を上げ、どれだけ会社に貢献したのかを数値を使って定量的に示し、誰が聞いても納得できる事実を伝えるようにしましょう。

それが難しいのであれば、評価方法への不満を言うのではなく、より自分が活躍できるキャリアを目指していると変換して伝えるのが良いでしょう。

 

面接官に刺さる!回答例


今の会社では、インフラエンジニアとしてキャリアを積み重ねてきました。しかし、直近で携わってきたプロジェクトは、規模の小さなシステムでしたが、人手不足でPMが不在となってしまったため、私がPMも兼務することになりました。
インフラエンジニアとして作業も関わったうえでPMを務めるのは非常に大変でしたが、エンジニアとして大変よい経験にもなりましたし、PMとしての適性に気付くことができました。この経験がきっかけにPMとしてより活躍するためにマネジメントに力を入れている御社に転職したいと決意しました。

 

市場価値を上げたい/専門知識・技術を習得したい/幅広い経験・知識を積みたい

これらはネガティブな理由ではありませんが、「御社で成長したい」というワードには気を付けましょう。

会社は社員の成長を望んではいますが、成長することが転職の目的になっている人材は、即戦力にならないばかりか、成長したら辞めてしまうので採用したくないと思われます。

これまで経験したこと、身に着けたスキルを、どのように活かし、転職先で将来どのように活躍できるのかをストレートに伝えてください。

また、自分がなりたい人材像を明確に伝え、それがどうして市場価値が高まることにつながるのかを加えるとより説得力が上がるでしょう。

 

面接官に刺さる!回答例


今の会社は、金融系のオンプレミスの技術に特化したインフラ開発を担っており、私もインフラ開発のチームリーダーとして複数のプロェクトを成功に導いてきました。今の会社では順調なのですが、今後10年を見据えたときに、オンプレミスではなく、クラウドを含めた先進IT技術の人材不足が起こると言われています。私は将来的に市場価値の高い人材になるために、今の会社ではなく、クラウドやAIなど先進技術に積極的に取り組んでいる御社へ転職し、オンプレミスもクラウドもわかるエンジニアとして、10年後も御社で活躍していきたいと考えています。

 

まとめ

ITエンジニアが転職を希望するときの転職理由の考え方、効果的な伝え方について詳しくお話ししましたが、いかがでしたでしょうか。

この記事でお話した内容は、エンジニアに限らず、全ての職業で通用する内容だと考えています。

どの職業でも、なぜ転職するのかを深く考え、実現したいことは何か、それが転職先企業でどのように実現するのかを考え、採用面接に臨みますよね。

転職理由は簡単に済ますものではなく、あなたの人生に深く関わる「仕事」を決める理由そのものなのです。

 

もちろん、その結果、ポリシーやスキルレベルが合わなかったりと、面接の結果が思わしくないことはあります。

しかし、その企業に合格するために自分を偽ることだけはやめてください。

突っ込んだ質問を受けてバレてしまったり、運よくバレなかったとしても、入社してから辛い思いをすることになります。

転職はある意味、結婚のようなものだと思います。

お互いがよきタイミングで出会い、お互いを正しく理解し、相思相愛で結ばれるのがベストですよね。

 

この記事を読んで、少しでも転職を考えている方の手助けになれたらうれしいです。

 

  • この記事を書いた人
ヤマダヒロタカ

ヤマダヒロタカ

インフラエンジニア/ITアーキテクト/プロジェクトマネージャ。 文系出身でIT未経験から2度の転職を経て、現在大手SIerにて技術系組織の部長を務める。インフラ技術を軸に最適なITアーキテクチャを提案することが責務。

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