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ITエンジニアが不足している本当の理由【現役SIerの採用担当が語る】

2020-07-31

悩める人
悩める人
・これから不足するIT人材って、どんな知識を持った人たちですか?
・ITエンジニアは人手不足と聞いていますが、転職のハードルは低いのでしょうか?
・いま40代以上のシニアエンジニアでも需要はあるのでしょうか?

この記事はこういった人のために書きました。

 

  • この記事でお伝えしたいこと
  • IT業界は慢性的な人材不足
  • なぜIT業界は人材不足に陥るのか
  • IT業界への転職は売り手市場!求められるスキルとは?
  • 40代以上のシニアエンジニアが生き残る道

 

  • この記事を書いている僕はこんな人です

新卒でIT業界に入り、2度の転職を経て現在はSIerで部長として働いています。
キャリアは20年で、インフラエンジニア、アーキテクト、PMを務めながら、新卒と中途採の面接担当も務めています。
これまで、何百人ものITエンジニアと仕事を共にし、多くの学生や中途採用希望者と接してきました。

 

この記事では、IT業界が人材不足であり、転職が売り手市場と言われている理由と、今後どのような人材がIT業界で需要があるかについて具体的にお話します。

 

結論から言うと、エンジニア需要は増え続け、転職も売り手市場が今後も続きます。
AIやクラウドなどの先進ITスキル(デジタル技術)を持つエンジニアが求められますが、既存の技術がなくなるわけではなく、40代以上のシニアエンジニアも活躍の場所があります
ヤマダヒロタカ
ヤマダヒロタカ

 

この記事は6分ほどで読み終わります。

IT業界への転職を目指したり、現在40代以上のシニアエンジニアの方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

 

IT業界は慢性的な人材不足

IT業界に限らず、少子高齢化の影響で労働人口が減少しています。

これは今後も続くと見られており、経済産業省は2030年には約45万人のIT人材が不足すると予測しています。

 

経済産業省が発表している「IT人材供給に関する調査-調査報告書」という資料があります。

これは、今後ITエンジニアなどのIT人材の需要と供給のギャップを示し、どのようにIT人材を増やせばよいかについて提言がなされている資料で、多くの企業がこの資料をもとに人材採用や人材育成の施策を打ち出しています。

2015年の人材不足規模は約17万人。2030年では、IT需要の伸びが「中位」の条件では、44.9万人の需給ギャップが生じると試算される。

出典:経済産業省-IT人材需給に関する調査-調査報告書(2019年4月)

 

これは、IT需要が「想定通り」の伸び率となるならば、2030年には45万人のエンジニアが不足するという意味です。

ITエンジニアは、今後10年に至るまで人材不足が続くと言われていることがわかります。

 

なぜIT業界は人材不足に陥るのか?

なぜIT業界はこんなにも人材不足の状況になっているのでしょうか。

そこには大きく2つの理由があります。

 

IT市場は右肩上がりの成長産業でありエンジニア供給が追い付かない

IDCの調査によると、IT市場の支出額は2010年には5兆円で、2020年には6兆円となり、2024年には約6.5兆円となると予測されています。

 

 

IT業界は10年に1兆円も成長する成長産業のひとつなのです。

IT化にはエンジニアの数が必要です。

企業はITにかけるお金を増やし続けているが、エンジニアになりたい人がその増加分に追いつかず市場に出てこない現象が起きています。

 

日本のIT業界は世界レベルで見ると年収が低い

転職・求人DODAが発表した平均年収ランキング(2019年)によると、技術系(IT/通信)の平均年収は457万円です。

また、全業種の平均年収(=サラリーマンの平均年収)は408万円となっています。

 

プロジェクトマネージャーやITコンサルタントともなると600万を超えますが、エンジニアの年収は400万から500万の間です。

これは、国内の全業種の中では比較的高めの年収になっていますが、世界に目を向けるとどうでしょうか。

 

ヒューマンリソシアが、独自に世界のIT技術者の給与ランキングを発表していますが、日本は92カ国中18位となっています。

順位だけ見ると上位にランキングしていますが、2位のアメリカと比べるとおよそ半額と大きく差が付けられています。

 

こういった理由から、優秀な理系の学生が、あえてIT業界を目指さないということが増えています。

また、Web系、SIerと限らず、優秀な技術人材が海外の高報酬な企業に流出するケースも増えており、問題となっています。

ただ、それに対抗して、NTTデータや富士通といった国内の企業でも、高度な技術力を持つ優秀な人材に2000万~4000万といった高い報酬を出す制度が確立されてきており今後の普及が期待されています。

 

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IT業界への転職は売り手市場!求められるスキルとは?

とはいっても、全業種の中では平均年収が高いIT業界。

業界が人材不足ということは、IT業界への転職は売り手市場になります。

そうするとITエンジニアの将来は安泰のように見えますが、エンジニアなら誰でも需要があるのでしょうか?

IT業界で今後求められるスキルについてお話します。

 

先進ITスキル保有者が求められる

便宜上、AI、IoT、クラウドなど、いわゆる「デジタル」と呼ばれている領域のスキルを「先進ITスキル」と呼びます。

逆に、メインフレームやUNIX、Linuxなど、現在広く使われている既存のIT技術を「従来型ITスキル」と呼びます。

これから10年にかけて、先進ITスキルの需要は爆発的に高まっていきます。

 

2030 年時点で(中略)先端IT 人材は、需要が供給を54.5 万人上回り、従来型IT 人材は、供給が需要を9.7 万人上回り、実質的なIT 人材の需給ギャップは54.5 万人となる。

出典:経済産業省-IT人材需給に関する調査-調査報告書(2019年4月)

 

この資料では、先進IT人材は54.5万人も不足すると予測されており、今後先進ITスキルの需要はますます高まっていくことがわかります。

 

従来型ITスキルの需要は減りつつもまだまだ必要

下の表を見てみましょう。

 

IT需要が「想定通り」の伸び率となるならば、2030年には9.7万人の従来型ITスキルを持つエンジニアが余ってしまうと予測されていることがわかります。

従来型ITスキルは全く需要がなくなるということでしょうか?

実は、この表の見方にはひとつポイントがあります。

「Reスキル率」と「IT需要伸び率」によって結果が変わってくる点を見逃さないようにします。

「Reスキル率」とは、従来型IT人材が「宗旨替え」をして先端IT人材に転身する率と理解してもらえればOKです。

そのように前提を変えた結果、もし、IT人材の2~5%が従来型IT人材から先端IT人材に転身するとした場合、2030年には、IT需要の伸び率に従って従来型IT人材も5.7万人~18万人不足するということになります。

現在、従来型ITの技術に携わっているエンジニアのうち、先端IT人材になる人も何人かいるが、10年後も従来型技術は消滅せず、引き続き必要とされていくということがわかりますね。

 

これは、現在もメインフレームやUNIX上で稼働している古いシステムがたくさんあるのですが、大規模になればなるほど、システムのオープン化やクラウド・シフト(クラウド上へ乗せ換え)には莫大な費用がかかります。

なので、どの企業も官公庁もオープン化やクラウド・シフトには二の足を踏んでいる状態であり、まだまだ従来型IT技術は必要とされるのです。

いずれはクラウド・シフトされる時がやってきますが、そのときに古いシステムに精通した従来型のエンジニアがいないと設計やシステムの切り替えができないのです。

 

このように、メインフレームやUNIX、Linuxといった従来型ITスキルは需要が減っていきますが、まだまだ必要性があります。

しかし、世の中はやはりAIやクラウドなど先進ITスキルにシフトしていくことがわかるかと思います。

 

40代以上のシニアエンジニアが生き残る道

いま40代のエンジニアの多くは「従来型IT人材」に該当します。

従来型IT技術の需要があったとしても、若手エンジニアだらけで肩身が狭い思いをすると心配される人もいると思います。
しかし、必ずしもそうはなりません。

 

2030年は20代の若手層と50代以上のシニア層に二極化される

2030年には約45万人のIT人材不足が予測されていますが、年齢分布はどのくらいになると言われているのか見てみます。

 

2030 年には、25~29 歳と30~34 歳のIT 人材が最も高くなり、全体の32%を占める一方で、50~54 歳に10%を超えるピークがあり、2030年には、20 歳~30 歳代前半と50 歳代前半に2つのピークが形成される。

出典:経済産業省-IT人材需給に関する調査-調査報告書(2019年4月)

 

2030年には、35歳未満の若手層と、50歳以上のシニア層の占める割合が高くなると予測されていることがわかります。

現在40代のエンジニアは、2030年には多数派層の一角を占める勢力となるということですね。

 

40代以上のシニアエンジニアへの期待

従来型IT人材、つまり現在40代で、従来型の技術に携わっているシニアエンジニアのうち、先端IT人材に鞍替えする人も出るが、従来型IT人材は10年後も需要があるといるということがわかりました。

古い技術で稼働しているシステムのオープン化やクラウド・シフト、または古い技術そのものの継承など、シニアエンジニアに期待されていることは山ほどあるのです。

ただし、従来型IT人材の需要は減っていくことも事実です。

そのため、今40代のエンジニアも従来型の技術にしがみつくのではなく、AIやクラウドなどの先進ITスキルも少しずつでいいので身に着けていくことをオススメします。

また、シニアエンジニアは技術力だけでなく、マネジメントやお客様との調整力なども期待されています。

古い技術に精通し、マネジメントやお客様とコミュニケーションが取れる40代~50代のシニアエンジニアは非常に重宝されます。

 

まとめ

IT業界が人材不足であり、ITエンジニアの転職は売り手市場である理由や求められるスキルついてお話しましたが、いかがでしたでしょうか。

転職は売り手市場といいましたが、もちろん転職は会社に入って終わりではありません。

また、人材不足=人不足というわけでもありません。

転職でうまくIT企業に入れても、スキルが低い人はやはりそれなりの仕事しか与えられません。

日進月歩で新しい技術が生まれては消えるIT業界で、目立って生き残り続けるには、日々の勉強が必要です。

 

この記事を読んで、少しでもIT業界へ興味を持ってくれる人が増えるきっかけになってもらえたら嬉しいです。

  • この記事を書いた人

ヤマダヒロタカ

インフラエンジニア/ITアーキテクト/プロジェクトマネージャ。 SESのエンジニアから2度の転職を経て、現在某SIerにて技術系組織のマネージャーを務める。

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