
この記事はこういった人のために書きました。
この記事を書いた人
IT業界での長年のキャリアと、過去の転職経験、現役の採用面接官として信頼性の高い情報を発信しています。
また、下記のIT資格を保持しています。(いました)
- 応用情報技術者
- プロジェクトマネージャー
- ITIL Foundation
- HP-UX CSA
- CCNA(※)
- Oracle Master Gold(※)
※CCNA、OracleMasterは更新をしておらず現時点で失効・・・
この記事でお伝えしたいこと
- 資格はITエンジニアの業務の役に立つか
- 資格を取得することの意味
- ITエンジニアにおすすめの資格
- 効果的な勉強方法
この記事では、ITエンジニアが資格を取得することの意味と、おすすめの資格や勉強方法についてお話します。

資格の勉強をしようか迷っているITエンジニアの方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
ITエンジニアに資格はいらないと言われる理由
ITの資格については、「必要派」と「不要派」に大きく分かれる傾向がありますが、なぜITエンジニアに資格はいらないと言われるのでしょうか。
大きく二つの理由があります。
- 現場の実務に直接役立たない
- 資格取得にかける時間とコストが見合わない
ひとつずつお話します。
現場の実務に直接役立たない
ITの資格は、現場の実務に直接的に役立たないとは、最もよく聞かれる声ではないでしょうか。
確かに、ITエンジニアの仕事は免許制ではありませんし、ITの資格を取ったからといってすぐにプログラミングスキルや、トラブルシューティングのスキルなどが向上するわけでもありません。
特にIPAが主催している情報処理技術者試験の午前問題などは、「なんでこんな事を覚えないといけないんだ?」というような問題が並んでおり、頭を悩ませている受験者も多いようです。
資格取得にかける時間とコストが見合わない
資格取得には意外と費用がかかります。
下記のように、ベンダー資格などは受験費用そのものも高額ですし、有償の研修受講が必要な資格もあります。
資格名 | 受験費用 |
情報処理技術者試験 | 5,700円(税込) |
AWS認定ソリューションアーキテクト アソシエイト | 15,000 円(税別)/ 模擬試験 2,000円(税別) |
PHP7初級試験 | 12,000円(税別) |
Oracle Master Bronze | 44,400円(税別)※2科目受験、15,000円+29,400円 |
CCNA(Cisco Certified Network Associate) | 33,600円(税別) |
※2021年1月時点の情報
また、受験費用の他に、学習用の書籍やWeb学習サイトも費用がかかります。
ITの資格は覚えることが多く、一夜漬けで取得できるようなものではありません。
合格レベルに達するまでには1ヵ月から人によっては数ヵ月くらいの時間が必要になります。
このように、お金も時間もかかり、その上直接的に実務に役立ない場合も多いため、ITの資格取得はコスパが悪いと言われがちです。
資格を取得することのメリット
では、ITの資格を取得すとのメリットは全くないのでしょうか。
ITの資格取得にも大きく3つのメリットがあります。
実はこれらメリットが非常に大きいため、ITエンジニアは資格を取得しておくべきだと主張しておきます。
- 実務経験を体系的に知識化し定着できる
- 知識・スキルの証明になり就職や転職しやすくなる
- 重要な開発案件に参画しやすくなる
こちらも、ひとつずつ解説します。
実務経験を体系化し記憶に定着できる
資格は実務に「直接的に」役に立たないというのは、資格の知識だけだと、実際の現場のやり方とマッチしないことが起こりうるために言われることです。
現場のやり方は現場独特なので、私もそれなりに同意できるのですが、間接的には資格の知識は大いに役立つのです。
業務で扱う技術は、その技術のほんの一部しか学べないと思っておいた方がいいでしょう。
例えば、開発で行うプログラミングも、その言語の全体像を理解した上で、最適なメソッドを選択できているかというと、そういう開発案件ばかりではないでしょうし、インフラの仕事においても同じことが言えます。
そういう案件で長年仕事をしていると、知識が偏ります。
知識が偏ることなく、技術の全体像を体系的に学ぶために資格の勉強は大変有効なのです。
ITエンジニアの「技術力」とは、知識だけでも、経験だけでも十分とは言えません。
体系的な知識と幅広い経験があり、それらがうまくマッチして記憶に定着してこそ、地に足の着いた「技術力」になると言えます。

知識・スキルの証明になり就職や転職しやすくなる
「知識・スキルの証明」もITエンジニアにとっては非常に重要なメリットです。
ITの知識やスキルは、本来持ち運び可能なもので、どの会社、どの現場に行っても役に立つスキルです。
そのため、エンジニアは比較的転職がしやすく、キャリアアップもしやすい職種と言えます。
しかし、昔と比較してITエンジニアは人気のある職種になってきており、就職も転職もライバルが多いです。
そして、就職や転職の面接官は初対面なので、あなたがどのような知識やスキルを持っているかわかりません。
そんなライバル達と差をつけるために、資格を取得することで、「知識とスキルの証明」として、就職先や転職先へ客観的かつ効果的なアピールをすることができます。
特に取得難易度の高い資格取得していると、よりライバルとの差がつき、就職や転職に成功する可能性が高まるといえるでしょう。

重要な開発案件に参画しやすくなる
資格を持っていると、大規模案件や、企業の基幹システム、AI・クラウドといった先進的な案件に参画しやすくなります。
政府・公共系、金融系などは、参画するエンジニアの条件に資格取得を定めている場合が多いです。
また、AI・クラウドも現時点ではまだまだ案件実績の多いエンジニアは少なく、知識を持っているだけでも重宝される可能性が高いです。
資格を持っていることが自分のキャリアアップにつながる可能性があるため、資格取得も馬鹿にはできないのです。
アプリ系エンジニアにおすすめの資格
応用情報技術者
応用情報技術者は、情報処理推進機構(IPA)が主催している「情報処理技術者試験」の区分のひとつで、高度な技能を持つITエンジニアとなるために必要な応用的知識・技能を認定する試験です。
ITの基本戦略立案又はITソリューション・製品・サービスを実現する業務に携わり、下記の役割を果たす技術者向けの試験となっています。
(1) 需要者(企業経営、社会システム)が直面する課題に対して、情報技術を活用した戦略を立案する。
(2) システムの設計・開発を行い、又は汎用製品の最適組合せ(インテグレーション)によって、信頼性・生産性の高いシステムを構築する。また、その安定的な運用サービスを実現する。
合格率は22.2%(令和元年実績)と難易度は高めですが、ワンランク上のITエンジニアとして、技術から管理、経営まで、幅広い知識と応用力が身に付き、システム開発、IT基盤構築などの局面で、高いパフォーマンスを発揮するためにおすすめの試験です。
システムアーキテクト
システムアーキテクトは、情報処理推進機構(IPA)が主催している「情報処理技術者試験」の区分のひとつで、情報システム又は組込みシステム・IoTを利用したシステムの開発に必要となる要件を定義し、それを実現するためのアーキテクチャを設計・開発を主導する技術者となるために必要な応用的知識・技能を認定する試験です。
情報システム戦略を具体化するための情報システムの構造の設計や、開発に必要となる要件の定義、システム方式の設計及び情報システムを開発する業務に携わる技術者向けの試験となっています。
高度な知識・技能を問われる難易度の高い試験で、合格率は15.3%(令和元年実績)と狭き門ですが、豊富な業務知識に基づいて的確な分析を行い、業務ニーズに適した情報システムのグランドデザインを設計し完成に導く上級エンジニアを目指すためにおすすめの試験です。
プログラミング言語の認定試験
アプリケーションの設計開発を行うITエンジニアは、プログラミングの技能を認定し、技能をアピールするために、プログラミング言語の認定資格を取得することもおすすめです。
言語によって試験の体系はさまざまですが、例えば下記のような認定試験があります。
プログラミング言語 | 認定資格 | 主催団体 |
Java | Oracle認定Javaプログラマ(Oracle Certified Java Programmer) | 日本オラクル |
PHP | PHP技術者認定試験 | PHP技術者認定機構 |
Python | Python 3 エンジニア認定試験 | 一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会 |
Ruby | Ruby技術者認定試験 | Ruby Association |
VBA(Visual Basic for Applications) | VBAエキスパート | オデッセイ コミュニケーションズ |
C言語 | C言語プログラミング能力認定試験(C-Language Programming Skills Qualification Test) | サーティファイ情報処理能力認定委員会 |
これらの言語の資格を取得することは、プログラミングスキルの向上につながると共に、自らの技能をアピールすることができるため、プログラミング初心者には特におすすめできます。
インフラ系エンジニアにおすすめの資格
LPIC/LinuC
LPICはLinux OSの技術者としての技能を認定する、世界中で実施されている標準的な試験で、正式名称を「Linux技術者認定試験」(Linux Professional Institute Certification)といいます。
難易度に応じてレベル1からレベル3までの試験が実施されており、レベル3にもなると、Linuxのプロフェッショナルと名乗ってもよい資格です。
LinuCは、NPO法人、LPI-Japanにより主催されているLinuxの認定試験で、正式名称を「Linux技術者認定試験 LinuC」(Linux Professional Certification)といいます。
LinuCは、既存の「LPIC」というLinuxの認定試験を改良し、日本向けにクラウドや仮想化の知識を問う問題も多く取り混ぜた試験となっています。
こちらも、レベルは1から3まであり、構築・運用から専門家レベルまで、Linux技術者の技術力を3つのレベルで証明することができる認定資格となっています。
LinuCは、クラウド時代の仮想化技術やLinuxOSの設計・構築・運用業務に役立つ可能性の高い、インフラエンジニアには必須といえる資格です。
CCNA
CCNA(Cisco Certified Network Associate)は、世界最大手のネットワーク機器メーカーであるシスコシステムズ社が実施する、ネットワークの技能を認定する試験です。
CCNA試験では、ネットワークの基礎的な知識と、シスコ社製のルーター、スイッチの設定に関する知識を認定します。
CCNAは入門的な資格で、さらに、CCNP、CCIEと高レベルの資格が用意されています。
CCNAで問われるネットワークの基礎知識は、インフラエンジニアにとって必須のスキルであり、シスコ社のネットワーク機器は、事実上のデファクト・スタンダードになっているため、インフラエンジニアはぜひ取得しておきたい資格です。
AWS認定試験
AWS認定試験は、Amazon Web Service社が主催するAWSの公式認定資格で、AWSのクラウドの専門知識を体系的に身に着けたことを認定する資格です。
レベルは基礎コース、アソシエイト、プロフェッショナルの3種類があり、その中で、アーキテクト(設計者)、運用、デベロッパー(開発者)の役割別に資格が用意されています。
- Solutions Architect Associate:設計者向け
- Solutions Architect Professional:設計者向け(上級)
- SysOps Administrator Associate:運用者向け
- DevOps Engineer Professional :運用者・開発者向け(上級)
これらの資格を取得することで、クラウドを使用した設計・構築業務や、運用業務、アプリケーションのリリース環境の構築・管理といった業務に役立つ可能性が高いと言えます。
ネットワークスペシャリスト
ネットワークスペシャリストは、情報処理推進機構(IPA)が主催している「情報処理技術者試験」の区分のひとつで、システムのネットワークの企画から要件定義、設計構築、運用保守を行うネットワークエンジニアの技能を認定する試験です。
高度な知識・技能を問われる難易度の高い試験で、合格率は14.4%(令和元年実績)と狭き門となっていますが、ネットワークの技術に精通し、大規模かつ堅牢なネットワークを構築・運用できるネットワークエンジニアやインフラエンジニアを目指す方にはぜひ取得してほしい資格です。
効果的な勉強方法
資格を取得するために効率的な勉強方法はあるのでしょうか?
結論からいうと、資格取得のためには、その資格の試験問題を数多く解くことが最も近道です。
そのためのスタンダードな方法を2つほどご紹介します。
書籍
資格を取得するために最もスタンダードな方法は、書籍を読み込むことです。
書籍のメリットは、手元に置いておくことで、手軽に素早く必要な情報にアクセスできることです。
インターネットで検索するよりも、使い慣れた書籍を調べる方が早いことが多いです。
書籍のメリット
- 資格取得に必要な知識が体系的に整理されている
- 書籍を読み慣れることで素早く情報にアクセスできる
書籍を使った勉強には、下記のようなデメリットがあることも押さえておきましょう。
書籍のデメリット
- ページ数の都合上、情報の説明が十分でない場合がある
- 問題集が少ないため書籍だけでは合格レベルに届かない可能性がある
資格ごとに、学習用の書籍がいくつか出版されていますので、書店で実際に手に取って、図解の多さや、言い回し、レイアウトの見やすさなど、自分に合った一冊を見つけ、手元に置いておくことをおすすめします。
Udemy
Udemy は世界最大級のオンライン学習プラットフォームで、世界中の学びたい人と教えたい人をオンラインでつなぐサービスです。
米国Udemy,Inc.が運営するプラットフォームで、日本ではベネッセが事業パートナーとして協業をしています。
開発、IT・ソフトウェア、データサイエンス、エクセル、マネージメント、マーケティングなど多くの講座があり、AI・データサイエンス・クラウドなど最先端のIT技術の講座が多いことが特徴です。
AWSなど、特定の資格取得のための講座やオンライン問題集なども充実しているため、資格取得のために非常に効果的です。
1講座あたり数千~数万円程度と費用がかかりますが、資格取得講座は数千円のものが多いことと、講座は一度購入すれば視聴期限なく受講でき、30日返金保証もついているので、安心かつコストパフォーマンスに優れていると言えます。
Udemyのメリット
- 資格取得に必要な知識が体系的に整理されている
- オンライン問題集も充実しており、最新の試験動向も踏まえた数多くの問題が用意されている
- 一度購入したら期限なく何度も受講できる
Udemy を使った勉強には、下記のようなデメリットがあることも押さえておきましょう。
Udemyのデメリット
- 内容が古かったり質の悪い講座が混ざっていることがある
このように、講座によっては内容が古かったり、値段に見合わない質の悪い講座も存在することがありますが、30日返金保証が付いているので、なんか違うなと思ったら、30日以内であれば全額返金してもらえるので安心です。
まとめ
ITエンジニアが資格を取得することの意味と、おすすめの資格や勉強方法についてお話しましたが、いかがでしたでしょうか。
最後にまとめです。
まとめ
- ITの資格は実務に役立たず時間とコストがかかると言われているが下記のようにメリットも多い
- 知識の定着化に役立つ
- 就職・転職に有利に役立つ
- 重要な案件参画のチャンスが増える
- アプリ・インフラと自分の職務に合った資格取得が大事
- 書籍とUdemyを使った学習がスタンダードで効果的
この記事を読んで、資格取得を悩んでいるITエンジニアの方の参考になればうれしいです。