
・内定後に入社日を長期間を空けて待ってもらうことはできるのでしょうか?
・一度決めた入社日を変更してもらうのはNGですか?
この記事はこういった人のために書きました。
この記事を書いた人
IT業界での長年のキャリアと、過去の転職経験、現役の採用面接官として信頼性の高い情報を発信しています。
この記事でお伝えしたいこと
- 内定から入社日までは1~3ヶ月が目安
- なぜ1~3ヶ月しか待ってもらえないのか
- 入社日の交渉の仕方
- 入社日までの過ごし方
この記事では、転職活動における内定から入社日までの期間の相場と、入社日の交渉方法、入社日までの過ごし方についてお話します。

現在、転職活動を考えている方、実際に転職活動中の方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
内定から入社日までは1~3ヶ月が目安
転職先への入社時期は、たいていの場合、採用面接の中で確認が入ります。
おそらくは「××月の頭から」「××月の半ばから」といった大まかな入社時期の話をしているのではないでしょうか。
会社の事情次第ですが、一般的には内定から1~3ヶ月くらいしか待ってくれないケースが多いはずです。
なお、退職するためには、下記の通りやらないといけないことが結構あります。
退職前にやるべきこと
- 現職の退職交渉
- 業務の引継ぎ/取引先への挨拶
- 事務手続き
- 有給休暇の消化
普通は内定を決めてから現職の退職交渉を始めることになります(絶対そうしてください)ので、内定からの1~3ヶ月の間で「退職前にやるべきこと」を完了させる必要があります。
そのために十分な期間をあらかじめ見積り、転職先と合意することが重要だということです。
なぜ1~3ヶ月しか待ってもらえないのか
理由は企業により様々ですが、下記のような理由が多いです。
- 中途採用の予算があらかじめ組まれており想定入社月が設定されている
- 担当者の転職 or 退職に伴う欠員募集
- 激務で人がすぐ辞めるなど人材の流動性が高い
どれも募集を掛けてからのんびりと待っていられるような理由ではありません。
あらかじめ予算が決められているのであれば、例えば「10月から雇いたい」という状況では、求職者が「1月から」と言っても希望が通りにくくなりますし、欠員募集や人材の流動性が高い場合などは、基本的に「急募」となり、すぐにでも来てほしい、となります。
ただし、企業側も「すぐに来てほしいのはやまやま」ですが、就業規則や、引継ぎ作業があることは重々承知しています。
だいたい1~3ヶ月もあれば就業規則をクリアし、引継ぎが終わるに十分な期間であることを肌感覚として知っています。
このように、ある程度時間がかかることは承知していますが、基本的には「すぐ来てくれ」なので、半年とかのんびり待ってくれる企業はかなり少ないと思っておいてください。
入社日の交渉の仕方
転職先の事情を踏まえた上で、どのように入社日の交渉を行うべきかお話します。
事前に退職までの計画を練る
上述したように、「退職前にやるべきこと」は結構たくさんあります。
採用面接に臨む前に、身の回りの状況を見ながら、内定が出てから退職までにどのくらい期間が必要かあらかじめ見積もっておくことが大事です。
内定が出そうな日から起算して、下記の概算日数を見積もっておきましょう。
あなたが転職活動で内定を獲得できる人材なら、それなりに責任ある業務を抱えていると思いますので、恐らく、短くても1ヶ月~1ヶ月半くらいはかかるはずです。
退職前にやるべきこと
- 現職の退職交渉
- 業務の引継ぎ/取引先への挨拶
- 事務手続き
- 有給休暇の消化
詳しくは後述しますが、それなりにやることが多いので要注意です。
採用面接の中で退職までの計画を伝える
退職までに必要な期間を見積もることができたら、いよいよ採用面接に臨むことになります。
採用面接の中で「いつくらいに入社できそうですか?」と聞かれたら、このように答えましょう。
「現在抱えている業務が多く、引継ぎ先の調整と、引継ぎの実施でだいたい〇〇日は必要となる想定をしていますので、××月の頭を想定しております」
転職先側としては、すぐにでも入社してほしいと思っている可能性がありますが、ここは計画に従って余裕を持った現実的な回答を心掛けてください。
ただしあまりに長すぎるのはNGです。
転職先の要望にもある程度応えられるよう、1~3ヶ月の範囲内で交渉することが望ましいでしょう。
あまりに入社日までの期間が長いと、あなたと同じくらいの評価である別の求職者に内定を獲られてしまう可能性もありますので。
入社日は内定が出てから調整する
基本的に、採用面接の中では、「××月の頭」「××月の中旬」といった回答で問題ありません。
内定をもらうまでは、転職活動をしていることを職場に内緒にしている人が大多数だと思いますので、内定が出てはじめて現職と退職交渉を行い、転職先への入社日が確定することになるためです。
もし、内定が出る前に具体的な入社日付を求められたら、下記のように回答しておきましょう。
「具体的な入社日付については、職場との調整後に、別途調整とさせて頂けますようお願い致します」
「現時点では××月〇〇日を想定しておりますが、職場との退職交渉がこれからですので、一旦、仮日程とさせてください」
大事なことは、内定が出るまえに入社日を確定させないということです。
入社日を変更したい場合は
内定が出て入社日を確定させてから、やむを得ない事情などにより万が一入社日を変更したい場合もあるかと思います。
結論から言うと「常識的な範囲内であればOK」です。
10月1日に入社する、となったときは、同じ月の中で1週間~2週間程度でしょうか。
基本的に、入社日の変更については、人事部門から配属先の現場への調整が必要となるため、1ヶ月を超えるような場合は調整が難航する可能性が高くなりますので要注意です。
入社後の印象が悪くなる可能性があるため、必ず誠意をもって、謝罪などの対応を心掛けるようにしましょう。
入社日までの過ごし方
内定が出たら転職活動は終わりというわけではなく、ここからが結構ハードな交渉や調整が必要になる局面です。
- 現職の退職交渉
- 業務の引継ぎ/取引先への挨拶
- 事務手続き
- 有給休暇の消化
現職の退職交渉
現職の会社を退職する際は、できるだけ「円満退職」を目指しましょう。
IT業界、特にSIの業界は思っているより狭いです。
転職しても、開発案件で以前勤めていた会社と何らかの形で関わることも多く、遺恨を残すような退職は避けるべきです。
円満退職については下記の記事でも詳しく書きましたので、よかったら読んでみてください。
-
エンジニアの退職で守るべき6つのポイント【円満退職が大事】
悩める人・会社を辞めたいんだけど、退職の際に気を付けたほうがいいポイントってあるの? ・開発プロジェクトが進んでいるときに会社を辞めるのは問題ある?どんなタイミングで辞めるのがいいんだろう? この記事 ...
業務の引継ぎ/取引先への挨拶
業務の引継ぎや取引先への挨拶などは、言うまでにもあらず、しっかりと行うべきです。
円滑に引継ぎを行うために、下記のような取り組みがおすすめです。
- 引継ぎメモを作成し、頭の中にしかない「暗黙知」をアウトプットする
- 右腕となるメンバーを決めて、自分の暗黙知を共有する機会を定期的に作っておく
IT業界では、担当者の頭の中にしかない情報が多く生まれがちで、そういった明文化されていない情報を「暗黙知」と呼んだりしますが、暗黙知を書き出してメモにしておくことは引継ぎを漏れなく行う上で非常に重要です。
顧客である情シスやエンドユーザーの担当者、常駐先の責任者など、取引先への挨拶もしっかり行いましょう。
同じ業界で働き続ける限り、またどこかで再会する前提でいた方がよいです。
事務手続き
事務手続きも軽視されがちですが、こちらも重要です。
事務手続きというと、退職願いの提出が浮かびますが、それ以外では、会社に返却しないといけないものが結構あります。
例えば下記です。
会社へ返却するもの
- 社員証
- 名刺
- 健康保険証
- パソコン・携帯電話など貸与物
- 印鑑(名前入り日付印など)
また、会社から受け取る必要のある書類も多いです。
会社から受け取るもの
- 雇用保険被保険者証
- 年金手帳
- 源泉徴収票
上記は転職先が決まっている場合の例です。
決まっていない場合は、国民年金や国民健康保険の手続きなど、自分でやるべき手続きがたくさんあります。
また、社内で株式の積立てなどをやっている場合などもあると思いますので、総務部門に確認して受け取るべきものは全て忘れずに受け取るようにしましょう。
有給休暇の消化
退職交渉や引継ぎなどは確実に行う必要があるマストなタスクですが、意外と忘れられがちなのが「有給休暇の消化」です。
退職時に有給休暇の消化は気が引けるという方もいるかもしれませんが、有給休暇は社員の権利であり、会社側も消化させる義務がありますので、遠慮することはありません。
しっかり休んで心身ともにリフレッシュしておきましょう。
まとめ
転職活動における内定から入社日までの期間の相場と、入社日の交渉方法、入社日までの過ごし方についてお話しましたが、いかがでしたでしょうか。
転職活動は、内定をもらうまでも大変ですが、内定が出てからも交渉ごとや調整ごとが多いです。
また、現職は出来る限り円満退職を目指すべきであり、そのためにも気を使いますし、稼働もかかります。
内定が出てから、1~3ヶ月以内に、退職交渉から業務の引継ぎ、事務手続きなどを円滑に終わらせるようあらかじめ計画しておくことが重要ということですね。
この記事を読んで、転職活動を考えている方や、転職活動中の方にとって少しでも参考になればうれしいです。