
・システムエンジニアって色々な種類があってよくわからない
・やっぱり残業が多くて家に帰れないの?
この記事はこういった人のために書きました。
- この記事でお伝えしたいこと
- システムエンジニアとは
- システムエンジニアの業務内容
- システムエンジニアの年収
- システムエンジニアのキャリア
- この記事を書いている僕はこんな人です
IT未経験から新卒でIT業界に入り、2度の転職を経て現在は大手SIerで部長として働いています。
キャリアは20年で、C言語のプログラマーから、インフラエンジニア、アーキテクト、PMを務め、現在は業界調査や人材育成、新卒と中途採用の面接官も務めています。
これまで、何百人ものITエンジニアと仕事を共に、数多くの転職希望者と採用面接を通じて接してきました。
この記事では、初心者向けにシステムエンジニア(SE)の仕事内容、年収、働き方について詳しく解説します。

現在IT業界に興味のある就活生や、未経験からIT業界への転職を考えている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
システムエンジニアとは
システムエンジニア(SE)とは、どのような職業かご存じでしょうか。
「仕事内容がややこしてくて難しそう」
「一日中モニターを向き合ってそう」
「残業が多くてブラックなイメージ」
「夜中に電話でたたき起こされそう」
こんな風に、どちらかというとネガティブなイメージを持つ人も多いかもしれません。
僕はシステムエンジニアとして20年働いてきました。
昔は確かにデスでブラックな面もありましたが、最近はそんなこともなくなってきました。
ざっくりどんな仕事か?
システムエンジニアは、ざっくり言うと「お客様と会話し、情報システムの仕様書を作成する人」です。
システムエンジニアの仕事内容がわかりにくいのは、その業務範囲が広く、実にさまざまな職種のエンジニアが存在するためです。
そう、システムエンジニアとはシステムの開発に携わるエンジニアの「総称」なのです。
業務系ソフトウェア開発や、サーバーやネットワーク、データベースなどシステムインフラの開発、システムの運用保守の設計、プロジェクト管理など、実に数多くの仕事がます。
それらの仕事に応じたスキルを持つエンジニアごとにチームを作ってプロジェクトとして開発を進める形が一般的です。
システムエンジニアとプログラマーの違い
純粋に役割の違いです。
システムエンジニアは、システムの仕様書を作成する人。
プログラマーは、その仕様書に従って実際にコンピューター上で動作するプログラムを作成する人です。
システムを開発するためには、開発を段階的に進める「工程」というものがあります。
2020年現在、ウォーターフォールという開発手法が主流で、下記のように開発工程が進んでいきます。
- 要件定義: お客様と会話し、システムに必要な要件を決める
- 基本設計: 機能ごとの処理や機能同士のつながりや流れを決める
- 詳細設計: 基本設計で決めた機能ごとの処理を詳細化する
- プログラム設計: 詳細設計の結果を、プログラムの流れに沿って整理する
- 製造: プログラム設計に従ってプログラムを作成する
- 単体テスト: 作成したプログラム単位で、正しく動作するか確認する。
- 結合テスト: 複数のプログラムを結合し機能として正しく動作するか確認する
この開発工程のうち、SEは、1から3を担当し、プログラマが、4から7までを担当することが一般的です。
ただし、開発プロジェクトによっては、プログラマが詳細設計を担当することもありますし、SEが製造やテストを担当することもありますので、その垣根は曖昧です。
というか、人によります。
どのプロジェクトにも古参の優秀なシステムエンジニア兼プログラマな人が1~2人はいるもので、昔からいるからそのシステムのこと何でも知っていたりします。
タバコ部屋でお客さんと何か決めてきたりもしちゃう。
そういう人が要件定義から設計から製造から一人何役もこなす、なんてことも普通にあります。
たまにモンスター化して、その人の機嫌を損ねると、タバコ部屋での情報が入ってこなくなり、お客さんからすると二度手間かけさせられてお怒り、なんてケースもあります。
もちろん、きちんとマネジメントされているプロジェクトではそのようなことはありませんし、お客様もちゃんとオフィシャルの場で発言することを心掛けている方も多いので安心してください。
話がそれましたが、このようにシステムエンジニアとプログラマーは基本的に、開発工程を分担して作業をしているということです。
システムエンジニアの種類
冒頭でお話した通り、システムエンジニアには、様々な種類があります。
呼び方に明確な定義はありませんが、大まかに以下のような職種に分類できます。
なお、この他にもプロジェクトマネージャーやシステム監査技術者、プリセールスなどの職種も存在しますが、ここでは実際に開発現場でシステム開発を行うエンジニアをシステムエンジニアと呼ぶことにします。
1.開発系エンジニア
- アプリケーションエンジニア
システム開発のうち、業務ソフトウェアの設計を主に担当するエンジニア。 - 制御・組み込みエンジニア
エアコンや洗濯機、冷蔵庫などの家電や、エレベーターなど産業用機器に入るシステムの設計を行うエンジニア - ITアーキテクト
顧客の課題・ビジネス戦略に対して最適なシステムアーキテクチャのデザインを行うエンジニア。
2.インフラエンジニア
- サーバーエンジニア
ソフトウェアが動作する土台となるサーバーの設計・構築・運用保守を行うエンジニア。 - ネットワークエンジニア
コンピューター、サーバーを結ぶネットワークの設計・構築・運用保守を行うエンジニア。 - データベースエンジニア
情報システムが利用するデータを格納・蓄積するデータベースの設計・構築・運用保守を行うエンジニア。 - 運用保守エンジニア
情報システムの運用保守設計・構築を行い、サービス開始後は運用保守作業の実施やマネジメントを行うエンジニア。 - クラウドエンジニア
主にパブリッククラウド(AWS、Microsoft Azureなど)上で、クラウドが提供するサービスを組み合わせたシステムの設計・構築・運用保守を行うエンジニア。
この分類は、サーバーやネットワーク機器などのハードウェアをお客様の資産として保有し、お客様が管理するデータセンタに設置して開発する「オンプレミス」型の開発現場における分類と思っていてください。
最近はAWSやAzureなどのパブリック・クラウドが主流になりつつあり、あまりインフラのことを気にしなくてもよくなってきました。なので、アプリのエンジニア、インフラのエンジニアというように分けずにアプリ開発からアーキテクチャ設計からインフラまで幅広に理解している「フルスタックエンジニア」の需要が高まってきています。
今後もその傾向は続きますが、オンプレミスがなくなることはありません。
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システムエンジニアの働き方
システムエンジニアにはどのような働き方があるのかをお話します。
就業形態と立場によっていくつかに分類できます。
正社員(SIer)
SIerは「システム・インテグレーター」の略称で、企業や自治体などから業務システムを受託開発する企業です。
プログラミングやテストは通常は行わず、要件定義や基本設計などの上流工程、プロジェクトマネジメント、お客様との調整・交渉を主に行います。
二次請けのSIerや、SESや派遣で来ているエンジニアやプログラマーのマネジメントも行います。
従って、システムと向き合うというより、人間と向き合うことが多い仕事です。
客先常駐もありますが、基本は自社開発です。
プロジェクトが円滑に進められていれば、休みも取りやすく、給与水準も高いホワイト企業が多いです。
女性社員も男性社員も育児休暇を推奨していたり、2週間に及ぶ長期休暇も取れるところがあります。
35歳くらいからマネージャーに昇格し、年収1000万を超えることも珍しくありません。
新人や未経験のエンジニアは、勉強も兼ねてプログラミングやテストなどの下流工程に携わります。
短い期間で技術を学び、下請けやSESのエンジニアの作ったプログラムや設計書の「見る目」を磨いていきます。
基本的には独力で技術力を磨く癖をつけないと、徐々に技術から遠ざかることにもなります。
正社員(SES)
SESとは「System Engineering Service」の略で、基本的に1次請けSIerなどが提供する作業場所に常駐して、SEとして技術力を提供する仕事のことで、二次請け以降の会社で多くみられる契約形態です。
客先常駐となりますが、指揮系統は雇用者側にあります。
なので、SIerのSEは、SESで来ているSE(ややこしいですね)に対して直接指揮をすることはできません。
派遣社員のように扱うと「偽装請負」として法律違反になります。
請負契約でもないので、成果物の完成責任もなく、支払いの対価は労働力ということになります。
基本的にリーダークラスの人以外はプログラミング、環境構築、テストなどの下流工程に携わります。
なので僕は、文系出身の学生や、未経験でIT業界に入ろうとしている方は、まずSES企業で働いて技術力を身に着けることを強くオススメしています。
僕も実際にそうしていました。4年ほどでしたが、徹底的にプログラミング、テスト、OSの構築などを手がけた経験は自分の財産として今も活きています。
派遣社員
派遣社員SEは、派遣会社に登録しているエンジニアのことです。
SIerが提供する作業場所に派遣され、常駐して技術力を提供する仕事です。
SESと似ていますが、契約内容が異なり、指揮系統は派遣先の会社が持つことになります。
つまり、派遣先の現場のマネージャーやエンジニアなどから直接作業を指示されます。
SESと同じように技術力を身に着けることができますが、年収や福利厚生面でどうしても正社員と差が付いてしまいますし、雇用期限に3年の上限があるため、気に入った現場でも3年経つと別の現場に異動しなくてはいけなくなります。
従って、特別な理由がない限りは、技術力を徹底的に身に着けて、正社員かフリーランスに転向することをオススメします。
フリーランス
フリーランスはその名の通り、企業に所属せずに個人事業主として働くエンジニアのことです。
自分で案件を選ぶことができ、時間や場所に縛られない働き方も可能です。
また、給与ではなく直接、契約先の企業などから報酬を得られるため、正社員エンジニアと比較して年収アップを狙えます。
優秀なフリーランスにもなると、年収1000万~1500万という人もいます。
ただし、企業に所属しないため安定性が低く、失業保険などもなく、社会的な信用も会社員と比べると低くなるというデメリットもあります。
そのため、20代~30代のうちはフリーランスとして活躍し、最終的にはどこかの企業に就職して安定を得るというエンジニアは多いです。
副業
基本的にはどこかの企業の正社員として働きながら、副業としてプログラミングや、週に1~2日のみ別の開発現場で働くという働き方も可能です。
最近は副業を解禁している企業も多いため、副業の市場が盛り上がってきています。
プログラミングや、IT系のメディア向けに技術記事を執筆したり、またリモートでマネジメントをやったり、中小企業向けのITコンサルの仕事もあります。
プログラミングでは、特にWeb系の案件が多く、Webサイト構築や、Webアプリケーション制作の案件は非常に多いです。
システムエンジニアの業務内容
システムエンジニアの仕事はどのようなものか、具体的に説明します。
IPA(情報処理推進機構)が主催している「応用情報技術者試験」には、以下のように定義されています。
基本戦略立案又はITソリューション・製品・サービスを実現する業務に従事し、独力で次のいずれかの役割を果たす。
(1) 需要者(企業経営、社会システム)が直面する課題に対して、情報技術を活用した戦略を立案する。
(2) システムの設計・開発を行い、又は汎用製品の最適組合せ(インテグレーション)によって、信頼性・生産性の高いシステムを構築する。また、その安定的な運用サービスを実現する。
わかりにくいので、これを少し噛み砕いてお話します。
システムエンジニアのお客様は企業や銀行などの金融機関、政府・自治体などです。
そのお客様が抱えている経営の課題に対して、ITを活用したシステム化による解決策を提案します。
そして、顧客とコミュニケーションを取りながらシステムの仕様を決定していく上流工程を主に担当します。
上流工程では、システムに必要な機能を決め、システムの使いやすさ、セキュリティ、運用保守のやり方を取り決めます。
また、ハードウェア、ミドルウェアといった製品を組み合わせてシステムの構成を決めたり、機能ごとの仕様を仕様書にまとめてプログラマーに渡します。
このようなシステムエンジニアの業務内容を、システム開発の工程に沿ってお話します。
- 要件定義: お客様と会話し、システムに必要な要件を決める
- 基本設計: 機能ごとの処理や機能同士のつながりや流れを決める
- 詳細設計: 基本設計で決めた機能ごとの処理を詳細化する
- プログラム設計: 詳細設計の結果を、プログラムの流れに沿って整理する
- 製造: プログラム設計に従ってプログラムを作成する
- 単体テスト: 作成したプログラム単位で、正しく動作するか確認する。
- 結合テスト: 複数のプログラムを結合し機能として正しく動作するか確認する
要件定義
お客様にヒアリングを行い、どのような要件を持つシステムを作るかを決める工程です。
システムの要件には、業務の流れや必要な機能を決める機能要件と、システムの壊れにくさや性能、運用保守の方針などを決める非機能要件を定めた要件定義書を作成します。
- 成果物
- 要件定義書 (システムに必要な機能の要件を整理)
- 非機能要件定義書 (システムの性能や壊れにくさなどの非機能を整理)
基本設計(概要設計)
要件定義書に基づいて、システムのアウトラインを設計していく工程です。
機能要件から、システムの機能ごとの概要を設計していきます。
具体的には、その機能がどんなデータを入力として、どのように処理して、何を出力するか、画面や帳票、他の外部システムとの連携をどのようにするかといった内容を設計していきます。
また、非機能要件から、サーバーやネットワークをどのような構成にするか、サーバーは何台必要か、システムを運用・保守するためにどのような作業が必要か、なども決めていきます。
それらの設計を基本設計書(概要設計書)として取りまとめていきます。
- 成果物
- 基本設計書(概要設計書)
- システム構成図
詳細設計/プログラム設計
基本設計書(概要設計書)に基づいて、機能ごとに詳細な内部処理と、プログラムの細かい仕様を設計する工程です。
機能や処理ごとの処理フローや、入力・出力するデータのデータ形式など、より詳細な内容を設計します。
また、サーバーのOSやミドルウェア、データベースなど、機能が動作するために必要なソフトウェアのパラメーター設計なども実施します。
この工程で作成する詳細設計書をプログラマーに渡し、プログラマーがプログラム設計と製造(プログラミング)を実施します。
なお、開発プロジェクトによっては、プログラマーが詳細設計書を作成する場合もあります。
- 成果物
- 詳細設計書
- プログラム設計書
- パラメーター設計書(パラメーターシート)
製造
プログラマーが、プログラム設計書を基に製造(プログラミング)と、プログラム単位のテストを行う工程です。
また、プログラムが動作するためのサーバーやネットワークなどの、システム動作構築も製造工程の中で「環境構築」という名前で行われます。
システムエンジニアは、製造工程が終わるまでに、以降のテストの計画や準備を行います。
- 成果物
- プログラム
- システム動作環境(サーバー、ネットワークなど)
テスト
これまで設計・製造したプログラムが正しく動作することを確認するためのテストを行います。
システムエンジニアは、これまで作成してきた設計内容に抜け漏れがないこと、また設計書通りにシステムが動作するかを保障しなくてはなりません。
そのため、網羅的にテストを実施するための計画を立て、段階的にテストを実施し、故障(バグ)が発生した場合は速やかに原因究明や再発防止策を講じて改修、再リリースを実施します。
- 単体テスト
まず、プログラムのモジュール(パーツ)ごとに正しく動作することを確認する単体テストを行います。
プログラムに組み込まれているすべての処理ルートを確認します。
- 結合テスト
全てのパーツが正しく動作することが確認出来たら、続いて関連するパーツを連動させ、処理や機能など大きなかたまりで正しく動くかを確認する結合テストを実施します。
- 総合テスト
その後、システム全体として一連の業務が仕様通りに実施できるか、システムの性能や壊れにくさが要件通りになっているかなどを確認する総合テストを実施します。
- 受け入れテスト
最後に、お客様に実際の業務として動作確認を行ってもらう受入テストを実施して終了となります。
テストは、開発工程の中でも、最も時間を費やす工程であり、システムのサービス開始が近づいている時期に実施するため、開発プロジェクトの緊張感が最も高くなる工程でもあります。
最近はプロジェクトマネジメントの手法も進化しており、リスクは事前に摘み取ることが当たり前となってきているためあまり聞かれなくなりましたが、設計工程での仕様の詰めが甘かったり、工数見積もりの甘さによる要員不足などで起こるいわゆる「デスマーチ」はテスト工程で発生するケースが多いと言われています。
僕もデスマーチは経験したことがありますが、本当に帰れません。
毎日タクシーでシャワーを浴びるためだけに家に帰り、ちょっと仮眠してまたすぐ出社。
いつ刈り取り切れるかわからないバグや仕様変更と仁義なき戦いを繰り広げ、心が折れそうになりました。
(最近はこういうのは本当に減っているので、そんなに恐れないでくださいね)
- 成果物
- テスト計画書
- テスト項目票(MCL、PCL、SCLとも呼ぶ)
- テスト結果報告書(テスト工程ごと)
運用/保守
システムは作って終わりではありません。
サービスを開始した後は、そのシステムが長期間継続してサービスを提供できるよう、定期的な運用作業や、サーバーや、ネットワークのメンテナンスなどの保守作業を実施していく必要があります。
運用中のシステムには、テストで刈り取り切れなかった故障(バグ)が潜んでいる可能性があります。
また、サーバーやネットワーク機器といったハードウェアの故障が発生してシステムが一時的に動作しなくなったり、最悪の場合はシステムがダウンしてサービスが提供できなくなる事態に発展する場合もあります。
そうした事態が発生したら、システムエンジニアは速やかに現場に駆け付け、原因究明を行うとともに、まずはサービスを継続させるための暫定的な対策を講じる必要があります。
顧客の立場に立つと、自社が提供するサービスが止まってしまうわけですから、金銭的な損害が発生する可能性もあります。
そうした最悪の事態にならないよう、できる限り迅速に対処することが重要です。
システムの保守レベルって要件定義工程で取り決めたりするのですが、企業の基幹システムや社会インフラとして稼働している重要なシステムは「24時間365日保守」が当たり前です。
つまり、夜間にシステムに問題が発生すると、真夜中でもお構いなしに電話が鳴ります。
普通は、その電話番を保守メンバーで輪番制にしたりしますが、当番の日はドキドキです。
特にリリースしたばかりのシステムはまだまだバグが多く、頻繁に電話が鳴るので、経験の浅い人は生きた心地がしません。(私も昔はそうでした)
電話が鳴ったら、とりあえず大きく深呼吸をして、ペンとノートを用意して落ち着いて電話を取ります。
電話を取ると、システムの監視画面に上がってきたメッセージを読み上げられます。
落ち着いて一言一句逃さずにメモします。何を書いているかわからなくて構わないので、数字とアルファベットだけは聞き逃さないように最大限の注意を払います。
提案
これまではシステム開発プロジェクトが立ち上がった後の開発工程についてご紹介しましたが、システム開発の案件を受注するまでに行う、提案という作業もシステムエンジニアの大事な仕事です。
営業と一緒になって、顧客が出すRFP(提案依頼書)に基づいてシステムの提案書や見積りを作成し、お客様の前で提案書のプレゼンテーションを行います。
提案書が採用されたら、自分が考えたシステムが世の中に出ることになりますので、非常にやりがいがあります。
また、提案書や見積もりを作成する期間は非常に短いです。
場合によっては1週間~2週間ということもよくあります。
その短い期間、提案チームは一丸となって作業に当たります。
ものすごい一体感が醸造されるので、受注できたときはチームみんなで大はしゃぎです。
システムエンジニアの年収
転職・求人DODAが発表した平均年収ランキング(2019年)によると、下記のようになっています(抜粋)
■技術系(IT/通信)全体:457万円(生涯賃金:2億5338万円)
・1位 プロジェクトマネージャー:656万円(生涯賃金:3億0925万円)
・2位 プリセールス:625万円(生涯賃金:3億1316万円)
・3位 ITコンサルタント:611万円(生涯賃金:3億2649万円)
・7位 システム開発/運用:471万円(生涯賃金:2億3861万円)
・8位 サーバエンジニア:467万円(生涯賃金:2億5039万円)
・9位 ネットワークエンジニア:457万円(生涯賃金:2億4967万円)
・12位 制御系ソフトウェア開発:435万円(生涯賃金:2億5192万円)
・13位 Webサービスエンジニア:429万円(生涯賃金:2億3039万円)
・14位 SE/プログラマ:422万円(生涯賃金:2億2724万円)
・15位 データベースエンジニア:414万円(生涯賃金:2億5734万円)
技術系(IT/通信)全体の平均が457万円となっていることに対して、システムエンジニアという職種が該当するのが7位~15位で、471万円~414万円となっています。
ほぼ技術系(IT/通信)全体の平均かやや低めな結果となっています。
ただし、システムエンジニアの年収は、正社員、派遣社員、フリーランスといった働き方によって大きな差があり、また正社員でも一次請けの企業かそうでないかで差が出ます。
フリーランスの場合、優秀な人材なら年収1000万を超える場合もあります。
また、最近は優秀な技術人材が海外の高報酬な企業に流出するケースが増えています。
それに対抗して、NTTデータや富士通といった国内の企業でも、高度な技術力を持つ優秀な人材に2000万~4000万といった高い報酬を出す制度が確立されてきています。
もちろん採用のハードルは高いですが、システムエンジニアを極める自信がある人はチャレンジしてみるのも良いでしょう。
なお、特に一次請けの企業では、システムエンジニアからプロジェクトマネージャーやITコンサルタントを目指すキャリアパスを用意しているところも多いです。
そうなると平均年収は656万~611万となり、より高い報酬を狙うことが可能となります。
システムエンジニアのキャリアについて
システムエンジニアのキャリアについてもお話します。
向き・不向き
システムエンジニアに向いている人とはどのような人でしょうか?
プログラミングが得意な人?
論理的思考力(ロジカルシンキング)ができる人?
コミュニケーション能力が高く、人付き合いが得意な人?
これらは全て正解ですが、僕はこのように考えています。
「何でもまずはやってみる人」
「何かを作って動かすことに楽しさを感じる人」
「新しいものや世の中の変化を恐れず楽しめる人」
ITの技術は日々進化を遂げ、新しい技術が次々と現れては消えていきます。
この3つを兼ね備えている人は、新しい技術にも恐れずチャレンジし、楽しめる人で、エンジニアとして最強の資質であると断言します!
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システムエンジニアのキャリアパス
正社員、派遣社員、フリーランスと様々な就業形態がありますが、最初は誰でもまず技術力を磨くことからキャリアが始まります。
開発系のシステムエンジニアであれば、最初はプログラマーとして、製造工程(プログラミング)やテスト工程を担当し、インフラ系エンジニアであれば、運用作業に必要なシェルスクリプトの作成や、OSやミドルウェアのインストール・設定作業などから経験を積むことが一般的であり、僕も強く推奨します。
そして、基本設計や詳細設計などの設計工程を担当するようになり、顧客とのコミュニケーションや、進捗管理、課題管理といったチームのマネジメントを経験して、システムエンジニアとして働くことができるようになります。
この時点では、正社員、派遣社員、フリーランスとでキャリアパスに大きな差はありませんが、この先を考えると、正社員ではさらにいくつかのキャリアパスが用意されていることがあります。
例えば、正社員がシステムエンジニアとして経験をさらに積むと、今後はプロジェクトマネージャーとしてマネジメントを極めるか、高度なシステムエンジニアとして技術を極める、またはITサービスマネージャーとして、運用保守のエキスパートになるキャリアパスが用意されている企業もあります。
それに対して派遣社員やフリーランスでは、基本的にはシステムエンジニアとしてのキャリアを歩み続けるケースが多いです。
特にフリーランスでは何10年もシステム開発の経験を積み上げ、技術を極めた人も多く見られます。
このように、システムエンジニアという仕事は、多種多様なキャリアパスがある職種であると言えます。
まとめ
システムエンジニアの仕事内容についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
システムエンジニアは、一日中モニターに向き合っているイメージもあるかもしれません。
しかし実際は、顧客、プロジェクトマネージャー、営業、チームメンバ、他のチームメンバや、外部のITベンダなど、人とのコミュニケーションが非常に多い仕事であり、実はヒューマンスキルが必要とされる仕事です。
たくさんの人と関わって大きなシステムを作り上げる非常にやりがいのある仕事であると言えるでしょう。
また、企業によっては優秀な人材として認められれば収入面で大きく優遇する制度も広まりつつあるため、収入面でもやりがいがある仕事です。
この記事を読んで、システムエンジニアの働き方がイメージでき、少しでも業界研究のお役に立てたら嬉しいです。